私急行 BBA列車で行こう

主に電車の中で映画を見るBBAに差し掛かった女のネタバレ感想ブログ

デトロイト(2017年)

実際にあったデトロイト暴動と、アルジェ・モーテル事件を描いた143分、2時間23分の大作。

こういったアメリカ近代の事件をまったく知らなかったので、ずっとなにが起こるか知らないけど不穏さを感じて「いやだな〜なんかいやだな〜こわいな〜なんか気持ち悪いな〜」とBBゴローの気持ちで見ていた。

黒人コミュニティへの差別的な検挙などで市警への不満が高まり、毎日黒人の暴動や略奪が起こるデトロイト。歌手グループでデビューを目指す若者とその親友はある夜、暴動に巻き込まれるのを避けてアルジェ・モーテルで夜が明けるのを待つことに。そこに居合わせた別の黒人の若者グループがふざけておもちゃのピストル(競技用の鳴らすやつ?)で窓から少し離れたところで暴動鎮圧のため待機している市警と州警察に向かって発砲。それを契機に市警が州警察を率いてアルジェ・モーテルを包囲。黒人グループと、他の黒人の若者たち数人、たまたまモーテルにいた白人女性二人がモーテルに軟禁され市警のやべー差別主義的白人警官に地獄の尋問を受けることに…。ここまで来るのに1時間近くかかっている。

暴力と銃を使った威圧、一人だけ別室に連れて行って銃声を聞かせて残ってるほうに「殺された」と誤認させる脅しなど、胸糞悪い展開が続く。最終的に三人の黒人の若者が殺され、市警は引き上げていく。

やっと終わった…と思ったら今度は裁判のパート。黒人三人を警官が殺したということで裁判になるのだが、居合わせた目撃者が黒人ということもあり結局罪には問われないこの事件ではあくまで被害者なのに、過去の軽犯罪を持ち出されて軽視される黒人青年。む、むかつく、裁判もむかつく…!

親友を警官に殺された歌手志望の若者は、白人のプロデューサーや白人の観客の前で歌うことはもうできないと言ってグループを抜ける。教会に行き、聖歌隊に入ることに。悲しい…夢も心もズタズタにされてしまったのだ。あんなに希望に満ちて観衆の前で歌いたかった若者が、祈りの歌しか歌わないことを選択するようになってしまった。終わり。

 

白人警官の特に主犯的存在のやつが、演技が、ほんとにほんとにクッソムカつくのですごい。マジでこいつなんなん?頭おかしいの?だれかこいつ間違えた〜☆って射殺してくんねーかな?とはらわたが煮えた。こんなやりきれない映画の後はマッコールさんが出てる映画が見たいよ…(※イコライザー)。

ただ、事件の発端は確かに黒人の若者の悪ふざけだし、いくら警察や政治への不満があるからって略奪や放火なんかしてもしょうがねーだろ?!また、白人もクソばかりでなく、一人で別室で死んだ演技をさせられていた黒人青年をこっそり裏口から逃がしてくれたのも白人の州兵なんだよな。だから…なんでこんなに世界は悲しいんだ?!こんなに世界は美しいのに…と年甲斐もなく思うおばさんなのだった…。