私急行 BBA列車で行こう

主に電車の中で映画を見るBBAに差し掛かった女のネタバレ感想ブログ

5.パラサイト 半地下の家族(2019年)

全員無職の貧困家族。父、母、頭はいいのに大学に入れないお兄ちゃん、実力はあるのに予備校に行けず美大に行けない妹の四人家族。元防空壕の半地下アパートに住んでて、上の階のおばさんちのWi-Fiにタダ乗りしてネットやって、家族全員で宅配ピザの箱組み立て内職とかその日暮らし(しかも組み立てが雑でピザ屋に怒られる)。だがそんなに悲壮感はない四人。

ある日、お兄ちゃんの高校時代の友達がやってきて、自分の留学期間に今やってるお金持ちの家の女子高生の家庭教師の代打を紹介してくれる。妹の技術で大学生であることの証明書を偽造し面接へ。女子高生の母親である奥様は若くて美しいけど、スレてなさすぎてちょっとアホ。お兄ちゃんのそれらしい指導方法にあっさり感心して雇ってくれることに。さらに女子高生の弟で変わり者の小学生の美術の家庭教師として妹を紹介することに。

二人は兄妹であることは伏せて、それぞれいい家柄の大学生を装う。妹もこれまたそれらしいことを言いまくって、奥様のハートを鷲掴み。奥様はさっそく妹も雇うことに。そこへ金持ち家の家長であり会社社長が帰ってくる。若くしてイケメン。社長は自分の専属運転手に妹を駅まで送らせてくれる。人間性もできている社長。妹は車内で運転手に粉をかけられるが適当にあしらい、別のことを思いついてこっそり車内でパンツを脱ぎ捨てる。

後日、車内でそのパンツを見つけた社長。運転手が車内に女を連れ込んでコトに及んだと判断し、家で奥様に話して静かに激怒。そこへ家庭教師に来ていた妹、上手いこと話に入って「私の叔父さんの運転手さん、叔父さんがアメリカ(かどっか)に赴任して暇してるみたいなんですよね〜」と誘導してまんまと父を専属運転手に送り込むことに成功。

このお金持ちの家には、家政婦のおばちゃんが一人いる。有名な外人の建築家が作ったこのお屋敷は、最初は建築家本人が住んでいて、その時からこのお屋敷で家政婦をしているという。隙のないおばちゃんだが、今度はこのおばちゃんを追い出して母も雇ってもらおう!と家族会議。おばちゃんが桃アレルギーなのを利用して、おばちゃんの咳を誘発。おばちゃんは結核なのでは…?と三人で奥様に吹き込む。ついには奥様の目の前で妹が桃の毛をおばちゃんに吹きかけ、咳き込んだあとのゴミ箱のティッシュに父がケチャップぴゅー。吐血までしてるわ!!と青ざめる奥様。かくしておばちゃんは荷物一つで家から解雇され追い出されてしまう。

家政婦いなくて困るわ…と車内でぼやく社長に、父は「メンバー制の人材派遣会社があるんですよ…私もそこに登録を誘われたんですが社長に雇っていただいたんでお断りしたんですけどねっ」と名刺を渡す。さっそく奥様にかけさせると電話に出るのは妹なんだけど名演技で母を派遣することに運ぶ。

こうして一家は全員、お金持ち一家に寄生することに大成功したのだった!(さらにお兄ちゃんは上手いことやって女子高生に惚れられている)

金持ち家の息子の誕生日、家族でキャンプに行くことになり、お屋敷の中は住み込み家政婦の母一人になる。そこに三人もやってきて、お屋敷のリビングを我が物顔で使い飲み会開始。楽しく過ごしていたところ、外は豪雨なのに訪問者が…。

やってきたのはずぶ濡れの元家政婦のおばちゃん。忘れ物をしてしまって取りに行きたいとのこと。隠れる三人、母が対応する。地下室の倉庫に…と低姿勢でお願いするおばちゃん。だが、地下室の倉庫の棚を動かして、おばちゃんは隠し部屋の扉を開きさらに地下へと階段で降りていく…。遅くね?と様子を見に行く母。地下室に驚いて降りていくとそこには…。

 

あまり快適そうとは言えない小部屋があり、小汚えおっさんが住んでいたのだった!!!!

 

おっさんに水と食べ物を与えるおばちゃん。追ってきた母に事情を説明する。なお他の三人も階段の物陰で隠れて聞いている。建築家は地下シェルターとしてこの隠し部屋を作っていたが今の一家はこの部屋のことは知らず、それをいいことに仕事に失敗した夫を、この部屋に勝手に住まわせていたのだ。真の寄生虫である夫は宿主の社長をリスペクトしている。馬鹿馬鹿しいことに、リビングの自動センサーライトは実は自動センサーなどではなく地下室にスイッチがあり、人が来たことを察知したこのおっさんがポチッとしてたのだという…ア、アホか。これからもここに住まわせてとお願いするおばちゃんに高圧的に出る母だが、お兄ちゃんが階段で足を滑らせて物陰から三人が転がり出てしまう。途端に形成逆転し、四人が他人同士ではなく一家であることを見抜いたおばちゃんは四人のやりとりを携帯で動画撮影し、それをネタに四人を脅す。四人をリビングに正座させ、酒や食べ物を漁る夫婦。やがて起きる携帯を奪うための乱闘───。そこへ電話がかかってくる。

母が出ると奥様だった。豪雨でキャンプはやめにして帰ってくるという。あと8分で。ジャージャー麺食べたいから用意しといて〜。

夫婦を地下室に蹴り落とし、扉を閉める。散らかりまくったリビングやキッチンを大急ぎで片付ける。そしてジャージャー麺を作る!!8分で!!

三人がお屋敷から脱出する前に一家が帰ってきてしまい、三人はリビングのでっかいローテーブルの下に滑り込んで隠れることに。弟がリビングのでかい一面の窓から見える庭に張ってあるテントで寝ると言い出し、仕方なく社長と奥様はリビングで庭を見守りながらソファで寝ることにする。ローテーブルの下で息を潜める三人。夫婦の会話が聞こえてくる。運転手の父について。一線をズカズカ踏み越えてくる奴は嫌いだがあの人はギリギリのところで踏み越えてこない。ただ、においが…と。雑巾みたいな、なんとも言えないにおいがすると言う社長に同意〜wする奥様。三人は、シーン…。小学生の息子にも、同じにおいがするね、と指摘されたことがあったのだ。見た目は取り繕っても、隠すことができない、自分たちにはわからないけど明るい地上で暮らす人々にはわかってしまう、半地下のにおい…。

その内なんか社長が催してしまい乳繰りあいが始まる。それにも無言で耐える三人。やがて一戦終えていびきが聞こえ始めたところで脱出する三人。外は大豪雨に見舞われていた。ずぶ濡れになりながら、惨めな気持ちになる三人。さらに家に帰ると半地下の家は浸水しまくっていた。なんとか家財を出そうと必死になる三人だが、大自然の前には無力…。妹は水が逆流して溢れる便器の蓋をしめてその上に立て膝で座りタバコをふかすのだった…。(汚いんだけどいいシーン…)結局地域の体育館の避難所に行く三人。

翌朝、金持ち一家は低所得地域が大変なことになってることなどはもちろん露知らず、さわやかにお目覚め。キャンプ中止で台無しになった息子の誕生日会をやるわよ〜!とやる気満々の奥様。息子はテントでまだ寝てるから、テントの周りにパーティーの準備をして驚かしちゃお⭐︎買い出しに運転手さん呼んで、パーティーには美術の先生にも来ていただかなきゃ!と大はしゃぎ。女子高生も先生呼んでいい〜?とねだる。かくして避難所にいたらそれぞれ金持ち一家に呼び出される三人。

父は買い出しの車内の中、後部座席で招待客に電話する奥様がふと鼻を抑える仕草が目に入る。奥様は無意識にやっているようだ。においがするかどうか気になる父。お兄ちゃんは女子高生の部屋でパーティー会場となった庭とそこに集う人たちを見ていた。そして、自分はこの場にふさわしいか…と問うていた。母はパーティーの料理の準備で忙しなく、妹は奥様にケーキを運ぶ役をお願いされる。女子高生の部屋を離れ、こっそり地下室へ向かうお兄ちゃん。元家政婦のおばちゃんは揉み合って地下室に落とされた時の打ち所が悪くなくなっており、その夫とお兄ちゃんは乱闘になる。が、力及ばず地下のおっさんに頭を強打され倒れるお兄ちゃん。おっさんはふらふらと地上へ上がっていく。

地上では父と社長が庭の茂みに身を潜めていた。ケーキを持ってきた妹を、悪のインディアンに扮した二人で襲うふりをして、正義のインディアンである息子に撃退されるという筋書きなのだ。

ところがそこに現れたのは地下のおっさん。大勢の招待客の前で、おっさんはケーキを持った妹を包丁で刺す。飛び出す父と社長。おっさんと揉み合う社長。父はそのとき、社長が「くさっ」という顔をして顔を背ける瞬間を見た。おっさんの落とした包丁を手に取る父は、そのままそれを社長に突き立てた。その光景を見て卒倒する奥様。人々は叫びながらお屋敷から散り散りに逃げていく。その中には、血塗れのお兄ちゃんをおんぶしてる女子高生もいた(力持ちだな)。庭から階段を降りて玄関へ逃げていく父。

 

お兄ちゃんは助かったが、頭部に受けた衝撃のせいかしばらくおかしくないときでも笑ってしまうようになってしまった。母とお兄ちゃんは起訴されたが(ここちょっとよくわからなかったんだけど…なにで起訴されたんだろ?身分詐称がバレたのかな??)、家に帰ることができた。妹は、助からなかった。遺影を前に笑っちゃう兄(脳の後遺症で…)。父は警察に追われて報道もされたが、捕まらなかった。どこに逃げたのか…?

お屋敷からあの一家は引っ越し、今は空き家になっている。お兄ちゃんは、山に登り遠くからその家を眺めた。一つ、思うところがあったのだと思う。父は、実はあのとき屋敷から出たと見せかけて玄関の横のガレージからまた室内に入ってあの地下室に行ったのではないか…?と。

誰もいない屋敷のはずだが、照明がチカチカと光っている。その点滅を書き取り、モールス信号に置き換える。モールス信号にしては長い、父から生存を教える手紙だった。

お兄ちゃんは思う、働いて、働いて、あの家を買おうと。

冬が終わって暖かな日差しの中、何年後なのかはわからないその日、お兄ちゃんは母を伴ってあのお屋敷を訪れる。なにもないがらんとした室内。日当たりの良いあの庭で、二人は待っている。父があの地下室から出てきて、ゆっくりと庭へと出てきて、三人はあの庭で再会する。

 

そんな夢を、半地下の家で父への手紙に綴るお兄ちゃんだった。終わり。

 

 

見終わった後は「いや〜面白かった〜!笑っちゃったし、スルスル見ちゃったけど後半重かったな…あの、においがさ…」などとじわじわ消耗していって、数日後からしばらく他の映画を見るパワーがわかなかった。見終わってすぐはそんなことなかったんだけどな〜。面白かった!!