私急行 BBA列車で行こう

主に電車の中で映画を見るBBAに差し掛かった女のネタバレ感想ブログ

アイ・アム・マザー(2019年)

Netflixで見てる。

人類が滅亡したらしい世界のどこかの施設で一体のロボットが、保存されている胎児を一体、培養し育て始める。何故一人だけ?人類を復活させるためなら一人だけ育ててもしょうがないのでは…と思ったがわりとすぐに育った少女からの同じような質問にロボットが「学習が必要」と答えるシーンがあった。確かに。しかし序盤の育児シーンだけで涙がでる、私は女児の母…。育児を頑張るロボットを勝手に仲間に認定する。ユー・アー・マザー!

 

どうやら外は汚染されてると娘は母に教えられてるけど、母が真実を言っているのかは微妙。母スリープ中に外から助けを求める女性の声を聞いてしまった娘はつい女性を中に入れてしまう。これが中年女性なのが上手いね、男性だと話が変わってきちゃうからね…。怪我をした女性の様子から、外には人間がいるみたいだし、母と同じような外観で人間を攻撃してくるロボットがいるっぽい。当然母を信用してくれない女性。娘が母と技術的サポートで学習の成果として女性の手術を行うことになるのだがノー麻酔。やめて、ノー麻酔の描写怖すぎてほんと嫌。歯医者で麻酔の麻酔頼むくらいノー麻酔怖い。でも麻酔で意識を失うことを女性が断固拒否なのだ…you麻酔打っちゃいなよ!

安静中の女性と話すうちに元々あった外への興味が膨らんでくる娘。女性が描いた他の人間の絵(上手い)が興味を掻き立てるんだな、同じ年頃の男の子の絵とかもあってさ…。そのうち母の嘘(隠し事)を知ってしまう娘。実は自分の前にも「娘」たちがいて、その子達は「失敗」して「中止」されていた。娘は記録と焼却炉の灰の中から歯のついた顎の骨を見つけて、母の「命の選別」を知ってしまう。

 

いや、でもさあ…

人類滅亡してて、外の世界でも女性の様子からすると数少ない人間同士でも争いがあるみたいだし、この事態だったら選別することは使命を課された母には仕方ないことなのでは…?

娘は学習によって倫理も習ってるからそこまで割り切れないのかな。この施設だって人間がたくさん増えてきたらいろいろな衝突や争いが生まれる未来が見えるんじゃ…。

こういうことを考えていると「やっぱ人類滅亡してもしょうがないな…」と飛躍してしまう。

 

奇しくも娘が母の試験に合格して、晴れて念願の弟が生まれることになる。このとき、保存胎児の中から娘に合格のご褒美として選ばせてくれるので娘自身も「なんとなく」命を選別してるんだけどね。母の理由ある選別と、娘のなんとなくの選別、なにが違うの?っていう。

だが、女性は母を信用できないとして娘と一緒に外に行こうと誘う。母にバレてて慌てて家出決行!本当は弟も連れてきたかったけど連れてこられなかった…。いや、新生児はこの施設内で育ったほうが絶対に絶対にいいから!

外は砂地に枯れた木、荒廃している。ロボットの管理装置?みたいなのでトウモロコシ畑が広がっている。女性は海辺の、コンテナ船が座礁したところでコンテナの中で一人で暮らしていた。他のみんなは?と失望する娘。なんかいろいろあってコミュニティからは逃げ出してきたらしい。空腹で狂気に…とか言ってたのでいろいろあったんだなと察し。娘はやっぱり母のところに戻るんだけど、また母と暮らそうというよりは弟をほっとけないという気持ちなのかな。改めて弟を抱く母と対峙して、「弟が完璧じゃなかったら?廃棄するの?」と尋ねるのだった…。弟を奪い、母の動きを止めた娘に、母が「もし、私が必要なら…」と言うんだけど娘は母を撃つ。

ロボットたちは単一意識らしく、外のロボットも中の母も素体が違うだけで同じらしい。別の体のロボットが、コンテナの中で一人、娘の絵を描いている女性のところを訪れた。「あなたの母を覚えてる?なぜあなただけこんなに長く生き延びたのかしら」この母のセリフは意味深…。彼女ももしかして施設で生まれて家出した?勘ぐり過ぎ?冒頭に「人類滅亡から●●日」と出たので単純計算すると38年くらい経ってて、娘の年齢とだいぶタイムラグがあるから娘の前にも娘がいたのは実はこの時点でなんとなく察せられたのだが、女性(ヒラリー・スワンク)なら最初のほうの娘でもおかしくないかもしれない。コンテナの中に入り、扉を閉める母。

 

施設では、娘が弟に子守唄を歌っていた。弟と、これから誕生を待つたくさんの胎児達を育てる決意をおそらくしている。終。

 

うーん人類はこりゃ早晩滅びるな。

 

母はロボットだから、愛情がない、機械的に選別して完璧じゃなければ子供を廃棄してしまう。

でも、これから生まれる子供達を娘が教え導くことはできるのか?子供同士が憎み合ったり、争いが生まれたり、ときには殺しあったりするかもしれない。そのとき、感情のある人間の母に裁定ができるか?そういう意味ではロボットの母も必要だったのだと思った。

人間の母には、荷が重すぎる。心があるから。

自分の産んだ子供をほんの少し育てるだけで精一杯。

何年も何十年も何百年も、ひたすら子供を育て選別する。それはロボットにこそ適任だった。

だからこの世界の人類は、長くないと思った。