私急行 BBA列車で行こう

主に電車の中で映画を見るBBAに差し掛かった女のネタバレ感想ブログ

ブラックミラー シーズン1 第2話

「1500万メリット」

 

近未来っぽい舞台。人類は21歳になると空調部門とか電力部門とかに配属されて、自転車漕いで動力を稼ぐような世界らしい。自転車漕ぐと個人にメリットという通過が与えられる。生活の全てはこのメリットで賄われており、歯磨き粉や食事も全部メリットを消費する。服装はみんなライトグレーの運動着みたいな簡素なもので、メリットで新しい服や帽子や髪型やアクセサリーなどを買ってアバターにつけることができる。自転車を漕いでる間は各自の前に画面が表示されていて、いろんなチャンネルを選ぶことができる。労働時間以外は狭い個室でひたすら四方を画面に囲まれていて、チャンネルを見たりゲームでメリットを稼いだりする。その合間に、CMが入る。これは私がスマホでアプリゲームをやっていると合間合間に入るCMみたい。スキップするにはやはりメリットが消費される。見たくないからと目を瞑ると部屋が赤く光ってアラートが鳴り、「視聴再開してください」と警告される。う、うざい…。

主人公は電力部門にいる黒人の若い男性で(「ゲット・アウト」の主役の人かな?と思って後で調べたらそうだった。なかなか覚えやすい顔をしてると思う)、エロチャンネルやデブを笑い者にするバラエティチャンネルなどは見ずに、アバターが自転車を漕ぐCG画面で黙々と漕いでいる。アバターにメリットはかけないが、食事はジャンクを選ばず少し高いオーガニック、エロチャンネルの広告スキップにはメリットを惜しまない。この虚実だらけの生活に虚しさを感じ本物のものに焦がれている。

ある日、電力部門に若い女性が新たに入ってくる。美人の彼女に主人公は目を奪われてしまう。たまたま彼女の歌声を聴いた彼は彼女を「本物だ」と確信する。チャンネルにはスター誕生!的なオーディション番組があり、そのオーディションで認められると歌手になったりして労働から解放されてスターになることもある。だがこのオーディションに参加するチケットは1200万メリットもする!彼女に話しかけ仲良くなり、歌の話からオーディションに出ることを勧める主人公。チケットを自分が買ってプレゼントする、兄が死んでその分のメリットが譲渡されたから自分は1500万メリット持ってるから、と。当然彼女は遠慮するが、「君の歌声は本物だから」と主人公は本当にチケットを買ってプレゼントする。実は値上がりしたのか主人公の勘違いだったのかチケットは1500万メリットだったので、主人公の持ちメリットは数千メリットになってしまうのだが…。

オーディションに行くとすぐに声をかけられステージに上がることになる彼女(エントリー順じゃなくて、審査員がカメラで控え室を見て選ぶ)。ステージの直前でなんか謎の飲み物をもらう。「なんか遠のく感じ…」という彼女に嫌な予感。付き添いで舞台袖で見守る主人公。

美しい歌声を披露し絶賛されるが、「最近歌手多過ぎるからさ、それに君は美人過ぎてみんな歌なんて聞いてないよ、君のいやらしい姿がみんな見たいんだwww」三人いる審査員満場一致で彼女をエロチャンネルの女優にスカウト!止めようとする主人公は舞台袖から追い出されてしまい、謎の飲み物で判断力が落ちたのか観客と審査員に煽りに煽られ、彼女はまた自転車を漕いでメリットを稼ぐ生活に戻ることよりエロチャンネルの女優になることを選んでしまう。

なんかそんな気がしたんだよ…。

時間が少し経ち、強制広告で彼女の出演するエロ番組の予告が…。つら…。スキップしようにもメリットが足りず、薬を用いられた彼女のエロシーンを見せられる主人公。つら過ぎてマットレスで画面をぶち壊してしまう。荒れた部屋には割れた画面の尖ったかけら、彼女がステージに立つ直前に彼に渡した怪しい飲み物の空き容器、彼女がくれたおりがみのペンギン。

主人公はある考えを閃き、朝は誰よりも早く自転車を漕ぎ始め、歯磨き粉は最低限、食事は人の残したもの、ゲームでメリット稼ぎ、その合間にはダンスの特訓を始める!!そんな生活を数ヶ月続けて1500万メリットを稼ぐと、再びチケットを購入して今度は自分がオーディションへ。服の中にあのかけらを隠して…。

まさか、舞台上で審査員をぶち殺すのか?と戦々恐々。

控え室でひたすら声がかかるのを待つ。待ち続けて、審査員からの「エスニック系を」という要望から主人公に声がかかった。

舞台直前の怪しい飲み物は、係の女に空き容器を見せて見事にスルー。

「エンターテイナーだ」と自己紹介をして、特訓のダンスを披露する主人公。審査員の感触も悪くないし、観客も盛り上がってきたぞ!というところで例のかけらを取り出すと、それを自分の首に寸止めで突き立てる。「話をさせないと今すぐ死ぬ!!」観客は「死ねよ!」とブーイング(こいつ自転車でいつも隣の奴…)。審査員は話してみるように促す。主人公はかけらのきっさきを首に突き立てながら、この虚飾の世界で、やっと見つけた本物を奪われたことを語る。そして世界と目の前の連中を罵倒する。

審査員長的な男「最高傑作だ」

はぁ?

「めっちゃ心に響いた、週二回30分でチャンネルを持たないか」

 

また少し時間が経ち、エロチャンネルでは相変わらず彼女が出演している。主人公が乗っていた自転車には別の人が乗っている。誰かが主人公の番組を熱心に見ている。アバターのアクセサリー「ガラスのかけら」を買ってさっそくアバターにつけると、アバターが首にガラスのかけらを突き立てた。

カメラに向かってなんだかんだいろいろと物申す主人公。ガラスのかけらを突き立て、番組の最後でそれを離す。「じゃあまた次回」

 

今までと段違いに広い部屋で、前はなかった窓から緑の森を眺める。この森は、本当の森なのだろうか?部屋にはあの彼女にもらったおりがみのペンギンではなく、ペンギンの立派な置物が置いてある。結局偽物のペンギン。終わり。

 

すごい皮肉がダイレクトな話。彼女が女優になってしまったあたりでまだ時間がだいぶあったのでどうなるんだ??と思ったら主人公大逆転か!?と思いきやなんだか虚しい結末で物悲しいね…。